四季一筆

徒然に。

睦月三十日、手洗いうがい

インターネットラジオからポール・マッカートニー(Paul McCartney)の「No More Lonely Nights」(1984)が流れてきて、ああ、懐かしいな、と。この頃の雑誌だったか、コンビニのカラー広告で、白い机の上に白い電気スタンドが灯っていて、影が紫色を帯びているから夜? 受験生を応援するようなコピーがついていたのがあったと思う。徹夜で受験勉強というシーンを想定しているのかな、と思ったのを未だに憶えている。
 
いまどき、徹夜で受験勉強やっている受験生、いるのかな。実力を発揮できない一番の方法だと思うけど。でも、四十年くらい前には「四当五落」という言葉が本気で信じられていて、徹夜で勉強するのが偉いみたいな空気が、普通に校内に流れていた。
 
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夜中に、深夜ラジオとか低くかけて、机の上には参考書とか問題集とか開いているんだけど、その実、気持ちは遥か夜空の向こう側から飛んでくる電波に向いてしまっていて、どうして英単語なんかよりビルボードのチャートのほうが頭に入りやすいんだろうとか。
 
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私の親の世代はいわゆる戦中派で、本物の戦争は経験していても、“受験戦争”なんて体験していない世代だから、“受験勉強”で何をどうしたらいいのかなんて皆目見当もつかない。だから、塾とか予備校といった“受験産業”に子どもを託して、自らは「勉強しろ」と言うしか無いわけだ。私自身、親から勉強の仕方とか教えてもらったこともないし、学校の教師だって、いまから思うとひどく泥臭い教え方をしていたと思う。
 
小4の息子の勉強に付き合っていると、現在の中学受験とか実にシステマチックにカリキュラムが組んであって、その仕組みには“親の協力と努力”も前提条件として組み込まれている。塾からもらう資料を見ると受験勉強の全体が俯瞰して理解できるように書いてある。戦後70年のノウハウが蓄積されて、マニュアル化されているのだ。
 
だから、そのシステム上での競争なんて、ちょっと離れてみると、物凄く微細な差でおこなわれているということがわかる。ただし、その仕組みの上のほうへ登りつめることの出来た少数の子たちにしか通用しないことなんだけど。
 
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ともかく、間もなく受験本番の時期。手洗いうがい、これ、基本な。そして、健康の秘訣は? と問われて所ジョージ氏がギターを弾きながら「快食、快眠、快便々♪」と昔唄ったように、生活の基本をしっかりとやっておく。ここまで来たんだから、あとは体調を整えて、自分のやって来たことを信じるだけだ。