四季一筆

徒然に。

開発者が想定すべき「現場」の死角

自宅使いの某社製プリンタ複合機はすでに製造終了。ネットで検索してみると 2017年に登場しているから、商品としての寿命が5年くらいか。

さっき席を外していた間に入電していたようで、着信履歴の番号でネット検索したら「世論調査」とか、実態は特殊詐欺のかけ子だよとか、いろいろ出てきた。じゃあ着信拒否したいんだが、このプリンタ複合機は電話番号を電話帳に登録しないと拒否できないという謎仕様、なので放置。

なんで不要な番号で電話帳を消費しないといけないんだよ、と。スマホなんか着信履歴からいきなり拒否指定できるじゃん。こういうのは実際の使用現場を知らないで作っちゃったんだろうなぁ、と。それとも2017年当時は、まだまだ世の中が平和だったとか?

開発者はテスト機やPC画面の中のシミュレーション機を前にして、ジワジワと笑いながら架空のテスト着信を待って「あ、かかってきた、ここで<おことわり>を押す、ね」とか、「はい、いま通話中ね、ここで<おことわり>を押す、はい、拒否登録、できた~」とか言いながら「テスト」したんだろうけど。

が、ユーザは常に電話の前に座って、かかってくるかどうかも分からない迷惑電話を待ち続けているわけではない。

既に通話が切れていて、着信履歴に残された電話番号をネットで検索して迷惑電話だと知り、そこで着信拒否をするだろう――なんて「現場」は想定しなかったんだろうな。テスト台の上のモックアップとか、もしくはモニターの内側に描き出されたシミュレーションだけを相手に開発しちゃったんだろうな、と思った。

いまどき、ネットで検索なんてのはライフスタイルだろ。想定しろよ、て思う。いや、そもそも電話帳に迷惑電話を登録しないといけないというのが謎だろ。ていうか、今後はプリンタ搭載の AIがこの辺の着信拒否登録とか勝手にやってくれるんだろうな。

 

ユーザ「おい、この番号、ネット検索でも迷惑電話だなんて通報されてないだろ。なんで着信拒否に登録したんだ?」

AI「……」

ユーザ「どうなんだ」

AI「実は、競合社の営業でしたので……」