四季一筆

徒然に。

2018-06-01から1ヶ月間の記事一覧

水無月十三日、読む

『本の雑誌 7月号』が到着。巻頭の個人書庫は夢枕獏氏。京極夏彦氏のような黒張りの地下要塞のような書庫もいいけど、夢枕氏の生成りの書棚もいい。ともかくわが家は収蔵量が最大の問題で、本を収納するために引っ越すか家を建てるかしないといけないのかな…

水無月十二日、次はない

日本は失敗を許さない、認めない国だと聞く。一度の失敗で完璧に失脚するとか、再起の機会が与えられない。一度の失敗が死を意味する。それは、心のゆとりの無さが現れているのだろうか。 ◇ ◇ 常々、日本は「災害立国」だと思っている。豊富な自然災害が文化…

水無月十一日、見ない。

洗面所に立ち、ヒゲを剃る。ハミガキする。あるいはトイレや、仕事場の椅子に座って沈思黙考にふける。 そういうとき、よく目をつぶっている。 ヒゲソリやハミガキのときに頼っているのは触覚や音だ。匂いを参照していることもあるかもしれない。指先に触れ…

水無月十日、見る。信じる。

見ることと信じることとは、あまり関係ない気がする。 見えているから信じるというのでもなさそうだ。 ◇ ◇ 最近見た夢。 どこかの広い建物の屋上に立っている。床面積の広い建物で、学校とか病院とかを思わせる広さだ。高さもかなりあるらしく、屋上のほぼ中…

水無月九日、ツメキリ

息子の学校で、インターネットやスマホの使い方についての講義のようなものがあったらしい。ネットの、特にSNS絡みの事件がおき続けているけど、小学生のうちに手を打っておこうということだろう。 息子には「中学卒業までスマホはダメ」と言ってあるし、息…

水無月八日、夏至間近

あと十日ちょっとで夏至。一年で昼が一番長い日がやってくる。12月の冬至から半年で、日に日に昼の時間が伸びているはずで、だから、その最長の日がやってくるのだから気分的にも盛り上がって最高潮! て具合になるなら、日本でも「夏至祭」のようなことを大…

水無月七日、最強の筆記具

油性のノック式ボールペンが、自分にとって最強の筆記具となって何年になるだろう。某文具メーカーのノック式の油性ボールペンを随分ながく使い続けている。もちろん、一本のボールペンを使い続けているのではない。パーカーのボールペンだったら、芯を交換…

水無月六日、梅雨入り

とうとう東京にも梅雨が訪れた。これからひと月半、「忍」の一字で耐え忍べば光あふれる夏がやってくる! なんて思えたのは大学生までのことで、会社で働き始めたら何のことはない。梅雨だろうと夏だろうと、開くことのない窓の内側で、いや、そもそも窓すら…

水無月五日、炭酸水

数年前のこと、ふだん何を飲んでいるかという話題になった。話の相手はみんな地元を中心に働いている人たち。「地元」といっても都心から十キロあまりしか離れていないところなんだけど。 「炭酸水」と応えると「えーっ!」と驚かれてしまった。全員オッサン…

水無月四日、タクシーという贅沢

都心から西に向けて走る鉄道はあるが、都心を中心として環七とか山手通りと平行に同心円を描くように走る鉄道がない。ということで、板橋から中野、世田谷方面への移動には、いったん山手線あたりまで入り込んで南北に移動して、それから西に向かうことにな…

水無月三日、6月の祝日

梅雨の到来に追いかけられるように、あちこちで運動会をやっている。先週は三軒茶屋で小学校の運動会をやっていたし、きのうは板橋の中学で運動会をやっていた。きょうは中野区の人と運動会の話になったのだが、同じ区でも5月から6月初旬の春開催と、9月末か…

水無月二日、何事もない

ゴミ袋を持って朝の玄関を出ると、週末の青空に白い雲がぽかぽかと浮いていた。暦では夏に入ったが、まるで春の温かい匂いがするような空気で、きょう一日何事もないことが保証されているような気がした。 どこか遠くの離れたところには、耕されつつある畑が…

水無月朔日、人はあそびたい

どうしてこうも我が子は胡乱(うろん)なんだろうか、と思い煩っていたら、私自身の三歳の頃のことをぼんやりと思い出した。 においとともに記憶が浮かんでくる。良いにおいではないのに。 ◇ ◇ 側溝の底をチョロチョロと流れている汚れた水の流れの中で、白…