四季一筆

徒然に。

睦月二十九日、討ち入り前夜

日めくりカレンダーをめくると、きょうは旧暦十二月十三日で「旧すす払い」とある。とすると、赤穂浪士の討ち入りがあった元禄十五年十二月十四日は明日じゃないか、と。ただしこれは旧暦での話。
 
毎年末12月のクリスマスの前ころに「きょうは12月14日、忠臣蔵の日です」なんて暢気にやっているみたいだけど、正確にはこの厳冬の季節、つまり現代の一月末で、そして当日は雪が降っていたとなると、ああ、こんな寒さの東京で、300年以上前にそんな事件があったんだな、なるほど、雪も降ろう、と何となく納得できるのだった。
 
世間様がすす払いを済ませたばかりの翌日の話なのか。すす払いの前にやらかしていたら、泉岳寺にはさぞ迷惑であったろう。
 
◇ ◇
 
用事で出かけたところ、きょう日中の気温は6度とか7度とか、このところの寒さが少し緩んだように感じられて、道路の凍りついた雪もジュクジュクとシャーベット状になっていたりする。そして、それを見計らって家々の前の雪退けをしているのは、いずれも高齢者という景色だった。
 
あれ、この家、こんなにお年を召したご夫婦だったかしらん、とか思いながら歩いていたんだけど、まあ、それだけ長くこちらも当地に棲んでいるということで、あら、あの人あんなに髪の毛薄かったかしらん、とか当方も思われているのだろう。
 
◇ ◇
 
近所のスーパーが出来たばかりのころ、開店セレモニーの直前に雪が降ってかなり積もって、そのときにも長いこと雪が店頭に残っていたが、今回の雪も同様に放置されている。幹線道路ぞいの店先の歩道や目の前の横断歩道には、汚れて黒くなった雪塊がそのままで、なんだか恨めしげにうずくまっている生き物のようだ。
 
自分がこのチェーン店の社長だったら、真っ先に自分でスコップを握るだろうが、ま、そのへんは契約事項とか経営戦略とか、いろいろなシガラミが絡んできているのだろう。店長に裁量権がないとか。
 
大義名分とは難しいものだ。経営理念は立派なのに、実にもったいないことだと思う。