四季一筆

徒然に。

弥生十二日、戦うコーヒー

コーヒーを淹れて、ほぼ毎日飲んでいるけど、飲み頃の温度がある。もちろん、熱湯でないとうまく抽出はできないから、沸騰したお湯が必要で、けれども、その温度では熱すぎてそのまま飲めば火傷する。かといって冷めすぎてしまうと哀しくなる。
 
◇ ◇
 
飲むのに適温というのは、熱く、熱すぎないというラインでぬるくはない。ペーパードリッパーで、あらかじめ温めた陶器のマグカップに淹れた瞬間から徐々に飲み頃の“熱く、熱すぎない”温度にまで下がってくる。けれどもそこで都合よく温度低下が止まるわけではなく、さらに下がっていくから、その適温の領域を温度が低下している間だけがチャンスなのだ。
 
何かをしている、たとえば帳面に書き込みをしているとか、書類を整理しているとか、こうして何かを書いているとかしていると、あっという間にその適温領域を通過してしまって、コーヒーは冷めてしまう。哀しくなる。
 
ステンレスの保温マグだと、もうちょっとマシなのかなとも思うのだが、ステンレスのカップで飲むのは好きではない。唇にあたるあの硬質で冷たい感じが苦手なのだ。
 
◇ ◇
 
天気予報だと、今週は平年より暖かいらしい。季節が暑くなってくると、アイスコーヒーを飲み始める。こちらは、ぬるく、味が薄くなるまでの戦いになるが、時間的にゆとりがあるところが救いか。ただし結露に気を付けないと、机の上や本をぬらすことになる。夏でも冬でも油断できないのだ。