四季一筆

徒然に。

弥生六日、啓蟄

春が近づいて土中の虫が蠢き出す頃ということで「啓蟄」。「◯◯の虫」というやつで「本の虫」とか「獅子身中の虫」とか色々あるけど。コリすぎると周りが見えなくなるというか。
 


大辞林 第三版の解説
むし【虫】
 
(8) 一つの事に熱中する人。 「本の−」 「芸の−」
(9) ある特定の性向をもっている人。他の語と複合して用い、その人をあざけっていう。 「泣き−」 「点取り−」
 
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“なんとか談合”のT建設のO容疑者、W大の理工でエンジニア出身だとか。エンジニアとは、ともすれば最適化を目指してしまう。それが企業システムとか業界システムとかの“上流工程”での最適化、抽象化に働いてしまったのだとすれば、あ〜、いっちゃったかぁ、て思うと同時に、やっぱり技術屋で、世間知らずというか、文系的機微とか倫理とか、そういうものが希薄だったのかな、と私は事件を新聞で読んで、勝手に思っている。
 
色々な記録という物的“証拠”が残っているらしくて、それがかつての「業務屋」の仕事振りとは違って素人くさいと新聞にあったけど、当人たちはそんな気がないから用心なんてしていなかったのかも、と思ってしまった。いわゆる文字通りの“無邪気”だったのかな。
 
かつての「業務屋」とは正反対の性向だからこそ、同じ陥穽におちてしまったのではないか。公共的事業というものは、そのような性質を帯びているのではないか、と考えるべきか。
 
◇ ◇
 
国策事業として、それぞれの企業が得意とする技術分野を活用して、事業全体を高品質かつ短期に仕上げるとしたら、“みんなで協力して”、技術や資源を最適化配置したくなるのかなぁ、どうなのかなぁ、と。その辺の“理系バカ”的な一種の忖度のような機構が、もし働いていたとしたら、その辺りを文系司直に理解できるかどうかは疑問だ。
 
でも、ダメなもんは、やっぱり駄目なんだよ。