四季一筆

徒然に。

皐月五日、断捨離には山行き

 

Amazonのお薦めで、山に行けとか、行くなら北アルプスだとか表示されるからじゃないけど、立山に来ている。
 
長野から特急バスで信濃大町経由の扇沢、そして関電トロリーバス石原裕次郎の黒四に参拝し、そこから大観峰を越えて室堂までやってきた。
 
荒天と除雪とで雪の壁の間を歩ける「大谷ウォーク」は全日中止だったのだが、ホテルの取り計らいで夕方から小一時間歩けた。
 
普段は毎年恒例のアルペンルート開通のニュースでしか見ないところを実際に歩いてみるのは、きっと何かを記憶の中に刻んでくれるのだろう。
 
夕日を反映して、富山平野の水田がたくさん並べた鏡のように光っていた。この時期にしか見られない。
 
この連休前に開通・開業したアルペンルートとホテルだけれども、もうフル回転状態。ともかく、長野側の扇沢からずっと外国人、特に中国語を話す人が多くてビックリ。他にフランス語、ロシア語、たぶんインドネシア語が周りで聞こえていた。
 
◇ ◇
 
今回もそうだけど、あるていど歳を取ってくると、旅行は33リットルのリュックひとつで済ませたくなる。そうなると、要らないものを取り除き、本当に必要なものとそうでないものを厳しく選別する必要が出てくる。
 
今回は地上で夏日予報が出ていて、標高2400メートル以上では摂氏3度とかで、真夏と真冬の間を往還する可能性があるので、着るものに工夫がいるわけだ。調節できて、かさばらず軽い装備。
 
綿ポリ混紡のワイシャツとか、畳むと手のひらに載るウルトラライトダウンとか、そういうやつのありがたみが改めて感じられる。
 
山に行くのは極力荷物を小さく軽くする必要がある。そうしないとバテるからだ。(これを書いているいまも、空気が薄くてちょっとやばい感じなんだけど)
 
◇ ◇
 
それに引き換え、日常生活の贅肉のなんと多いことだろうか。余計なものばかり詰め込んでしまって、手放せないでいる。それは命の危険がないからだろうと思う。安穏と暮らしているからだろう。
 
邪魔だったら押し入れに放り込んでおけばいいや、て。
 
でも、山では邪魔なものは捨てるしかない。いや、捨ててはいけない。邪魔なものを捨てる代わりに、自分の体力とやる気を捨てることになる。オレ、なんでこんなもん持ってきたんだろう、とウンザリする。わざわざ山に来てまでウンザリすることもないだろうに。
 
◇ ◇
 
下界に戻れば再び要らんもんに取り囲まれての暮らしに戻るのか、と思うと嫌になるんだけど、この旅行の持ち物の断捨離の余韻が残っている間に、下界のゴミを片付けるのはよい機会かもしれない。
 
◇ ◇
 
この頃、カミサンが山に関心を持ち始めたのは、もしかしてそういう気持ちがあるからなのかな。下界のゴミを、というより、下界を、日常生活を断捨離したいとか。