四季一筆

徒然に。

皐月二日、ありふれたアナタの特別席

みんなと同じで Amazonでよく買物をする理由は、地元に欲しい商品がないから。書店もスーパーもドラッグストアもそのほかの個人商店も、ワタシの欲しいものを置いていないので、自然、Amazonで注文することになる。
 
ぽちっ。
 
◇ ◇
 
息子が湯水のように本を読むので、図書館や地元書店では間に合わない。そこで、「まちトム」とか「銭天堂」とか「ぼくら」とかのシリーズを大人買いするわけだけど、その所為で、Amazonの「おすすめ」にポプラ社の「怪人二十面相」とか「少年探偵団」とか出るようになってしまった。
 
へぇ、「トリプル・ゼロの算数事件簿」とか読んでいる人は、「少年探偵団」も読んでいますってか、なんて他人事のように思っていたら、息子が学校の図書室から「怪人二十面相」と「少年探偵団」を借りてきてびっくりした。Amazonおすすめのポプラ社の、表紙が同じヤツ。
 
ビッグ・データてやつ?
 
◇ ◇
 
「Aを読んだ人はBも読んでいる」のような相関関係が数千、数万のオーダーで集まると一定の傾向を表すのだろう。もちろん、そうではない奇特な人もいるのだろうけど、大概の人はその平均的な傾向の内側に集まる。偏差値50の辺りに分布を表すグラフの頂点ができるということ。
 
自分だけは特別で、世界でたったひとつの存在で……なんてロマンチックだけど、本当のところは平均におさまってしまう。数字に直すと、何ら特別なことではない。あ〜あ、スッタリだなぁ、と。
 
◇ ◇
 
思えば、この惑星にへばりつくようにして生きている人類70億人も、70億パターンの殆どは一定の平均に集まっているわけで……。
 
じゃあ、このオレって、何? ワタシって、何? どーせ……
 
……なんて虚無的な気分になりかけるわけだけど、だからこそ、自分自身を大切に取り扱ってやらないと、ね。自分の内側から自分の外側を見られるのは、自分だけなんだから。この頭蓋骨の内側からの眺めは、自分だけにしか許されていない特等席からの眺めなんだから。
 
それにしてもAmazon、おっかないな。「北アルプス詳細ルートガイド改訂版」とか「北アルプス岩稜ルートを目指せ!」とか「登れ!3000m峰全21座」なんて薦められてるんだけど、ワタシ、行くの? 行かなきゃだめ?