四季一筆

徒然に。

卯月十日、電話調査というやつ

息子のお友達の家では、固定電話はなくて携帯電話だけというところもあるらしくて、あ〜、時代なんだねぇ、と思う。
 
むかしはアルバイトして、お金貯めて、高い権利料を支払って電話加入権を買って、ようやく固定電話を自宅に引くことができた。寮を下級生に譲って、大学の近所のアパートに引っ越したときに、最初に欲しかったのは電話と窓付けのクーラーと運転免許だった。だから、麦の脱穀のアルバイトなんてやって、お金を貯めた。
 
◇ ◇
 
そんな古臭い世代の我が家も、いまではすっかりスマホが日常になっていて、だから、固定電話は全く使わない。使わないから、留守番電話をセットしたまま、倉庫に放り込んである。ときどき見ると、ごくたまに「着信あり」の赤いランプが点滅している。大概は無言で切れているけど。
 
そんな「着信あり」で最近増えているのが、機械によるアンケート調査だ。これ、気味悪いね。
 
「ただいま電話に出られません。ピーと鳴りましたらご用件をどうぞ。ファックスの方はそのまま送信してください。ピー」
 
なんて具合にこちらの電話が応答すると、あちらの電話が録音されたのか、合成音声だかで、
 
「ただいま不動産についてのアンケートをおこなっております。所要時間は約10分です。あなたのご自宅は……」
 
なんて具合でさっそく質問が始まっている。まあ、さっさと消去するんだけど、あちらは機械で、それもAIなんて搭載していないから、自分がやっている仕事が時間と回線使用料の無駄以外の何ものでもないなんて知らないで、坦々と質問を投げかけてくるわけだ。
 
本当に莫迦だな、と思う。
 
でも、こういう電話に応答してしまう生身の人間がいるからこそ成り立っている仕事なんだろうと思うと、なんだか律儀に対応したり回答しているであろう人間が気の毒になる。
 
ていうか、やっぱり莫迦だと思う。
 
◇ ◇
 
昨今、電話を使った特殊詐欺が流行しているのは周知の通りだと思う。警察は、電話を留守番電話にしておいてすぐに出るなとか呼びかけている。にもかかわらず、なぜ正体不明の電話に出てしまうんだろうか。
 
電話の向こう側が信用できないのは、電話会社が電話料金で儲けるために、そこを流れるであろう清濁云々については自然の成り行きに任せてしまったというのがあるだろう。おかげで悪貨が良貨を駆逐するを地で行ってしまって、電話線を流れる情報の信頼性が著しく落ちてしまった。
 
正体不明の相手は信用できない世界にようこそ。
 
◇ ◇
 
そのように考えると、NHKがやっているRDDによる世論調査というのも、簡単に信用できるものではないのかもしれないな、と。いや、NHKをじゃなくて、調査結果を、てことだけど。
 
安倍内閣「支持」38%「不支持」45% 半年ぶり逆転 NHK調査 | NHKニュース
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180409/k10011396461000.html
 
以前は固定電話を対象にしてだけしか調査をやっていなかったはずだけど、最近は携帯電話も調査対象となっている。まあ、それはいいんだけど、正体不明の人間からかかってきた電話、普通、とるか?
 
と考えてくると、このRDD方式による調査に回答しているのは、通信リテラシの低い、言ってみれば迂闊な人たちなんじゃないか、とか思ってしまうのだ。そんな迂闊な人たちがどのように考えているのかというは、それはそれで大切な調査データになるんだろうけど、じゃあ、迂闊じゃない人、慎重な人、懐疑的な人たちはどう考えているんだろう、というのは調査結果に出てこないと思う。
 
どうなのかな。
 
もちろん、何か切羽詰まった状況にあって、危急な電話を待っているという人には、正体不明な電話であろうがなかろうが、生身で応対しなければならないだろうけど、それはそれで調査結果にバイアスがかかると思う。回答している人は、
 
・迂闊な人
・切羽詰まってる人
 
に限定されちゃうじゃないか。
 
◇ ◇
 
それともみんな、NHKからの電話だとわかって応答しているんだろうか。ちゃんとNHKの電話番号を、自分の電話帳に登録してあるとか。
 
まじか?