四季一筆

徒然に。

睦月二十五日、雪解け水凍る

朝の食器を洗いながら、いいことを思いついた。けれども、洗い終わって、さあ何だったかなと書き留めなきゃ、という頃にはすっかり忘れている。ラジオからのおしゃべりと、家族のうろうろとで汚染されて失われてしまったかのようだ。それとも、食器洗剤の泡と一緒に流れていったのかな。何を考えていたかな。
 
たぶん、仕事についてだったと思う。ああ、こういう考え方もあるか、と。気の進まない仕事だけど、見方によっては気が楽になる、その方法というか考え方がものすごく良いアイディアだと思えたのだけど。
 
◇ ◇
 
食器を洗っている途中にそういうことを思いついても、両手は泡だらけでぬれているので書き留めることが出来ないし、結局は忘れてしまう。水を扱っているときによいことを思いつく確率が高い。実にもったいない。
たいがい風呂から上がって体を拭いているときのような、まだ体に水滴がついているような瞬間に、よい考えが浮かぶ。水に触れていて、ぼんやりと何も考えずに、単純な手仕事をしているときなのかな。
 
なんだったかな。心の持ち方についての思いつきだったと思うけど。思い出せない。くやしい。
 
◇ ◇
 
商品の配達の人が、すみません、雪でトラックが動かなかったので、ご注文の○○が入荷しませんでした、つきましては返金ということで――という事情説明。仕方ないよな。雪だもん。
 
雪で通行止めだった首都高速の全線開通は、明日にまでずれこんでいるらしい。除雪といっても一晩越してしまうと氷結するだろうから、除雪というより除氷とか解凍とか砕氷とか、そんな作業になるのだろうか。
 
◇ ◇
 
日没後、まだ早い時間なのに氷点下に下がってしまった気温のなか、スーパーに買物にゆくと、道路は残雪で既に凍りついている。歩いていくと、雪かきの状態が家々の一軒ごとに異なっていて、なんだかその家の事情を表しているように見えて興味深かった。
 
単身者が多そうなアパートの前は確実に雪かきをしていない。仕事で日中は出払っているらしく、夜に帰ってきてまで雪かきなんてしてらんないよね。けれども、そういう場所は、路面が凍りついていてほんとに危ない。何より、アパートに上がる階段が凍りついている。明日の朝、怪我しなきゃいいけど。
 
スーパーでは相変わらず緑色の野菜が高いので、キノコとモヤシを買って帰ることにする。道路を、ちゃりちゃりと滑り止めのチェーンを鳴らしながら、宅急便の配達トラックが過ぎていった。