四季一筆

徒然に。

正月十五日、小正月

今日は小正月で、ようやく正月明けと言ってもいいのかなという日。小豆粥を炊いて一年の邪気を払って一年間無事でありますようにと祈る日でもある。粥占とかもやるんだっけ。
 
小豆を炊いて粥を作ろうかと思ったが、私以外の家族はもともと豆類が嫌いだし、七草粥でお粥を炊いたばかりで需要がなさそうなので、やめておいた。一時は豆ご飯とかもいいかなとか思ったんだけど。
 
ともかく、ようやく正月明けということで。
 
◇ ◇
 
立川談笑というひとがラジオで喋っていたのだが、その中で、重箱に詰められたお節が一般的になったのは戦後のことで、それもデパートで売るようになったからだ、と。その前は、重箱に詰めるのは花街のスタイルで、いわゆる“お大人”が専らのものだったのだろう。
 
へぇ。ということは、小学校の頃、大晦日までかかって家族総出でお節の重箱を作っていたというのは本来の姿ではなくて、秋口にデパートまで注文にゆき、大晦日の午後に受け取りに行くというのが本来の姿に近いのか、と思った。
 
先日、鏡餅の話を書いた。子供の頃は、松の内が終わらないうちに青カビが生えてしまうような丸餅でお鏡をしつらえていたけど、いつの間にか、スーパーで売っている充填式の鏡餅もどきになってしまった。
 
そのように我が家の鏡餅は、本来の姿からより簡略化された形に“進化”したわけだけど、一方、我が家のおせち料理は、手作りで自前の重箱詰めというスタイルから、デパートにアウトソースするという本来の様式に“回帰”していたのか。
 
◇ ◇
 
年末からカミサンの里帰りに付き合ったのだが、あちらのおうちでは筑前煮とか数の子とか黒豆とか、そういうものを鍋などから焼き物の器によそっていただいのでした。これこそ、古来本来のお節のあり様なのだろう。
 
NHKマイあさラジオ
1月13日(土)サタデーエッセー
2018年1月13日(土)放送
2018年2月12日(月) 午後6:00配信終了
https://www.nhk.or.jp/radio/player/ondemand.html?p=0322_04_11451