企業のSNSには、「お小遣いシステム」が普通に実装されるようになる
小中高生の携帯・スマホユーザー、3割がネット上で小遣い稼ぎ、高校生では男子8割・女子7割 -INTERNET Watch
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もう既にオトナとは違う経済圏、労働スタイルが始まってるんだね。こういう体験が基本にあって、子どもたちが大人になったとき、企業は対応できるんだろうか。
2016/02/23 11:43
小中高生の携帯・スマホユーザー、3割がネット上で小遣い稼ぎ、高校生では男子8割・女子7割 -INTERNET Watchは、ケータイやスマホを持っている子ども達が、ネットで「お小遣い」を稼いでいるというお話でした。ざっくり要点をメモすると次の通りです。
- 30.7%がネット上で小遣い稼ぎをした経験がある
- 高校生に限れば、男子で79.6%、女子で68.9%に上る
- 1カ月あたりの小遣い稼ぎの金額は、1万円未満が86.8%。平均は1万855円。
2700億円市場
サンプル数が618なので、これを真面目に論じるとかは不可能なんですが、未来のことを夢想するヒントにはなるでしょう。そこで、「高校生のネットでお小遣い稼ぎ市場」が、どれくらいのスケールなのかをざっくりと計算してました。前提は次の通りにしました。
- 高校生は全国で約330万人
- 高校生の99%がスマホを所持
- 月々の「ネットでお小遣い」の売り上げを約1万円とする
- 経験は男女合わせて7割とする(もうちょっと行くと思うけど)
3,300,000 * 0.99 * 0.7 * 10,000 * 12 を計算すると、年間2700億円強になるらしいことがわかりました。
2700億円て一体どんな数字なのか検索してみると、
のようなのが出てきます。ちなみに市場規模マップというツールで見てみると、
- ライブコンサート 2749億円
- ミネラルウォーター 2655億円
- アニメーション 2595億円
という市場規模なんだそうです。「高校生のネットでお小遣い稼ぎ」という労働市場の大きさが何となく感じられるでしょうか。親からお小遣いをもらうのではなく、高校生自身が労働市場から直接にお代をいただくんですよ?
縛られずに稼ぐという原体験
ネットとスマホの組み合わせなら、ちょっとした空き時間を使ってポイントを貯めるとかが簡単にできるようです。勤務時間や通勤時間に拘束されることがありません。好きなときに指先で、スマホという、ネットにつながった「どこでも貯金箱」をいじってやればいいのです。
そんな体験が基盤となった子どもたちが大人になったとき、これまでの企業や雇用スタイルに違和感を感じるんじゃないかな、と思いました。(もちろん、ヤバイ自撮り写真とか、ある種の趣向の古物販売とか、社会的倫理性の不安定な年頃特有の問題が色々あるでしょうが、それはまた別の機会に書いてみたいと思います。)
普通の子でもネットを使って単純作業をすることでポイントが貯まったり、要らないものを換金することができる。いっぽうで、起業に関する社会的なハードルが下がってきているので、スキルがあったり意欲の強い子は就職しないで起業する道を選びたくなるかもしれません。
いずれにせよ、毎日決まった場所、決まった時間に通勤するという従来型企業で働く必要性がなくなるんじゃないかと思います。在宅勤務やテレワークといった働き方を政府が推進していることからも、この傾向は強まることでしょう。生活費を稼ぐために通勤する必要性が薄れていく、同時に、企業への「所属」の意味が変わって、ひとりの人間が同じ時期に複数の企業のために働いているのが普通になるかもしれません。
そうなったとき、「ウチで働いてくれる人がいない!」と慌てても遅いです。
だから、企業は今から「どこでも貯金箱」のようなスタイルを取り込んでおくといいのかな、と思います。企業がプロモーションなどに活用しているSNSに、「お小遣い」や「ポイント」やクラウド・ソーシングのような「お手伝い」機能が必須として実装されるようになるでしょうし、そのような「お小遣い」的少額決済がコミュニケーションの一形態として当たり前になるのでしょう。
え? あなたの会社は、まだSNSを使っていないって? いや、それは、もう、……ねぇ。
追記
朝日新聞の記事で「国内正社員1500人、副職OKに ロート製薬」なんてのがありました(2016年2月24日)。会長さん曰く「社内ではない刺激や気づきがあれば、座学より社会経験が積める」。来てるところには来ているようですよ。(ロート製薬 公式アカウント @rohto_cp)