四季一筆

徒然に。

カネは天下のまわりもの

N県S市から東京に帰ってきた。バスと電車と飛行機を乗り継いで千キロほどを一日で移動すると、それなりにくたびれるけど、それは狭い客席にこびりついたようにして座り続けているという肉体的疲労のほかに、千キロという距離を数時間で一気に移動するという精神的・心理的疲労もあるのかな、と思う。
もしかしたら、たくさんの磁力線を横切りながら移動するから神経細胞がくたびれるのかもしれないとか思いたくなる。
なので、今日は珍しく本当のビール。ビールテイストとか第三のビールとかいうニセモノとかマガイモノではなくて。
 ◇ ◇
軍港の町S市に、今回はちょっとした手違いで隣の隣のF県F市のF空港から出入りしたんだけど、S市を車で走ったりしていると、郊外のほうに大通りがあって、その両側に大型店舗がたくさん建っていて、ああ、儲かってるのかな、みんなお金持ってるんだなぁ、アベノミクスってやつ? なんて思った(皮肉だからね)。けれども、こういう地方都市のお金の循環て、どうなっているんだろう、て同時に思う。
何か大きな工場があるのでもなく、農産品で日本一というのでもなさそうだし、某有名通販会社の本拠地があるにしても、それだけでみんなが潤うには足りないだろうし。水産業は完全に銚子に負けているだろうし、もしかして造船業
 
トスカーナウェールズの高速道路を走りながら眺めた景色でも同じことを考えてしまったんだけど、お金、どんな具合に回っているんだろうか、て。
 
たとえば、ロードサイドの家電量販店には駐車場にたくさんの自家用車がとまっていて、店も繁盛している風に見える。じゃあ、そこで買物をしている人の収入源は一体何なんだろう、て思い始める。農業、漁業、工業、もちろんサービス業や公務員とか軍人とかいるだろうけど、その人達がこの町で稼いでいるお金の素になっている商品とかサービスとか労役とか、そういうのはどうつながっているんだろうか。
まさか、東京からやって来る人間が支払う交通費とか食費とか宿泊費とか、そんなものだけを源にして賄っているわけないし、とすると、この一見して繁盛の具合というのは何を由来としているんだろう――なんて考え始めてクラクラしてしまうわけだ。
 
そして、ああ、やっぱり自然物から何かを採るという仕事が最強なのかなぁ、そしてそれら自然物から何かを作り出すとか、ブツを作り上げるとか、そういう仕事って次に最強なんだろうなぁ、という結論で、いつも思考停止するのだ。
 
本物のビールを久しぶりに飲んでいるので、まあ、この程度にしか頭が回らないのだろう。いや、まぁ、それにしても田舎の部屋は広いね。東京に戻ってきたら、自分ちが物凄く矮小に感じるよ。