四季一筆

徒然に。

水無月五日、炭酸水

数年前のこと、ふだん何を飲んでいるかという話題になった。話の相手はみんな地元を中心に働いている人たち。「地元」といっても都心から十キロあまりしか離れていないところなんだけど。
 
「炭酸水」と応えると「えーっ!」と驚かれてしまった。全員オッサンだったんだけど、あれ? こんな反応か? と。無糖の炭酸水を日常的に飲むのを珍しがられてしまった。でも、会社では普通に自販機に NUDAとかウィルキンスンとか入っているし、机の上に置いてあっても違和感ないし。
 
◇ ◇
 
キリンの NUDAが出たのが2006年。出た当時は、ああ、こういうのを待っていたんだよ、甘くなくて、コーヒーでもなくて、しかも炭酸が入っているやつ。もちろんノン・アルコール。
 
そして2006年当時に思い出していたのは、シンビーノ ジャワティだった。発売は1988年だったらしい。甘くないストレートの紅茶味。そもそも30年前にコンビニはあったけど、そこで買う飲料水は殆ど全てが味付きで、大概は甘かった。あれが苦手だった。ビールテイストはバービカンくらいしかなかった。
 
地元のオジサンたちから驚かれて数年たったいまも、一番良く買って飲んでいるのは無糖炭酸水で、自宅の冷蔵庫で冷えているのは近所のスーパーの独自ブランド 500ML 1本58円。だから気軽に飲める。
 
◇ ◇
 
ビールは、嫌いではないけど、昼間から酔っ払うのはアレだし、そもそも酔ってしまうと、もともと粗末な頭の中がますます濁ってしまう感じがするので苦手だ。なので、炭酸水。
 
会社時代には、外回りの途中で丸の内の料亭に入ってビール付きの昼食なんて上司がいたけど、そういうのは苦手。
 
この頃は、本物のビールと良く似たラベルのノンアルコールビール風飲料があって助かる。座を白けさせないから。各自飲み物を持参の夜の会合では、そういうのを持ち込んで素知らぬ顔をして過ごしている。まさに文字通りの素面(しらふ)だ。にこにこしながら周囲の酔っぱらいを観察してます。
 
 
 
 

水無月四日、タクシーという贅沢

都心から西に向けて走る鉄道はあるが、都心を中心として環七とか山手通りと平行に同心円を描くように走る鉄道がない。ということで、板橋から中野、世田谷方面への移動には、いったん山手線あたりまで入り込んで南北に移動して、それから西に向かうことになる。
 
けれども急いでいるときには、いちいち副都心線で新宿に出てから総武線に乗り換えて……なんてことはまだろっこしいので、バスを使うことになる。けれどもバスはバス停にしか止まらない。そして今日は朝から陽射しが強くてマイった。
 
◇ ◇
 
バスを降りて、バス停から10分ほど歩いて出先についたときには汗びっしょりで、取り敢えず上着なしで来たけど、半袖シャツにすればよかった、と後悔した。
 
◇ ◇
 
帰りがちょっと遅くなって、そろそろ息子が小学校から帰ってくる時間だから、急いで帰らないといけない。加えて、まだまだ日射しが強くて、この中をテクテク歩いたりとか電車を乗り換えたりとかはうんざりだ。暑さ馴れしていないので頭が少し痛いみたいだし。

ということで、明治的表現で「奮発して」タクシーを使った。出先から自宅まで6キロちょっと。バスや鉄道を使うと小一時間かかるところが、10分ちょっとで到着。けさの苦労はいったい何だったんだ。
 
タクシーの中ではノートにメモを書いたりできたし、涼しかったし、なんと言っても家の前まで運んでくれるからラク。これなら2300円の料金も納得できる気がした。
 
◇ ◇
 
よく、タクシーは贅沢だなぁ、と思うのだけど、車を所有するほうがずっと贅沢――というより無駄だなぁ、と思う。それに、運賃を惜しんでバス停や駅ホームで途方にくれるのも莫迦らしい。
 
きょうは出先で色々とためになるお話を伺うことができたんだけど、それよりも何よりも、本日の収穫はタクシーの快適さを再確認できたことかもしれない。
 
もちろん、息子の下校時間には間に合いました。
 
 
 
 
 

水無月三日、6月の祝日

梅雨の到来に追いかけられるように、あちこちで運動会をやっている。先週は三軒茶屋で小学校の運動会をやっていたし、きのうは板橋の中学で運動会をやっていた。きょうは中野区の人と運動会の話になったのだが、同じ区でも5月から6月初旬の春開催と、9月末から10月の秋開催と、学校によって異なるところがあるらしい。
 
息子が通う区立小学校は、いつもは秋開催なのだが、去年は校庭整備で夏休み以降の校庭利用ができなかったので、春開催となった。
 
◇ ◇
 
いまから数十年前は、10月10日の体育の日に合わせて秋開催が当たり前だと思っていたけど、いまは各校、各地区の思惑が関係しているのだろう。
 
息子の学校は運動会での鼓笛行進が名物で、その練習時間を確保するために秋開催だ――と聞いている。どこまで本当か知らないけど、そうでなくても4〜6月は健康診断、体力測定などの“検査系行事”がたくさんあるので、運動会の練習なんて出来ないな。遠足もあるし。
 
◇ ◇
 
秋は秋で行事が目白押しな感じだ。音楽会、学芸会、展覧会の“文化系行事”が色々とあるし、なんと言っても6年生は中学受験に向けて殺気立ってきている時期だろうし。進学熱の高い場所では、東京の私立中学受験がおこなわれる2月1日に、クラスの数人しか登校してこなかった、というような話も聞こえてくる。そうしたら、運動会は春開催にしたくなるか。
 
それに9、10、11、12月は祝日が多い。そうやってただでさえ授業日数が減ってしまうと気が気でないでないかもしれない。(まあ、塾はそんなの関係なく授業してるみたいだけど)
 
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私が通っていた中高一貫校は、運動会も文化祭も秋開催だった。しかもご丁寧なことに11月の文化の日に全校マラソン大会なんてのがあって、これが高3生にとっては邪魔以外の何ものでもなかったのだろう。のほほんと過ごしていた私は何とも思わずに参加していたけれども、いわゆるデキるやつらは防衛大学校を受験していた。同じ日に受験日のひとつがあたっていて、そこで受験するならマラソン大会に出なくても済むからだ。
 
たぶん、彼らにとっては、3ヶ月後の大学受験シーズン本番のための準備運動のようなものだったのだろう。
 
◇ ◇
 
天気予報によると、東京では次の週半ばに雨予報が出ている。そろそろ梅雨に入るのだろう。この週末は青空が見えて、運動会には好い天気だった。ラジオでは、この好天を活用して、雨対策をしてくださいと言っていた。雨樋の点検とか、側溝のごみ浚いとか。
 
冬物の洗濯と衣替えにも好い。
 
◇ ◇
 
毎年思うのだけど、8月の「山の日」なんてわざわざ休みにしなくても、盆休み、夏休みがあるからいいじゃないか、と。それよりも、休日のない6月に「雨の日」とか作ってくれないだろうか。曇天雨天で、ただでさえ気分がふさぎがちになるのだから、そんな気晴らしの一日とか連休とかがほしいと思う。