四季一筆

徒然に。

皐月十九日、品薄

神棚の榊一式を取り替えようと思うのだが、これまで買ってきたスーパーの店頭に見当たらない。仕方ないから商店街の花屋の店先も見てみるが、こちらも無い。品薄なのだろうか。
 
スーパーのサカキは中国産のヒサカキというやつで、この一年くらい品質が落ちてきているなぁ、葉の色とか状態が悪いなぁ、と思っていたのだが、とうとう店からなくなってしまった。
 
◇ ◇
 
最近はウィスキー人気だそうで、仕込みに時間のかかる銘柄は原酒が足りなくて販売終了なんだそうだ。かつては飲んでいたけど、もうそんなに突っ張って呑む齢でもなくて、そもそも酒自体呑まなくなってきているので、どうでもいいんだけど。
 
十年以上前に、現在のウィスキーブームを読めるはずもなく、仕方ないね。
 
◇ ◇
 
ウナギの稚魚が圧倒的に少なくて、外国産のウナギすら高値になっているらしい。ということで、今年もウナギを食べることはないだろう。
 
私の母親は、生前にウナギの蒲焼が好物で、帰省の折には「双葉」でよく買って行った。だが、こう品薄ではそんなこともできないわけだが、まあ、母親は既に死んでいるから関係ないか。
 
私の息子は小さいときに、ウナギの蒲焼の中にあった小さな細い骨で泣いて、以来ウナギを敵視しているし、カミサンは何が混じっているかわからない外国産なんて絶対に食べないと宣言しているので、わが家で今後ウナギを食べることは無いだろう。
 
◇ ◇
 
沖縄から始まったらしい“はしか”の騒動だけど、おかげで、はしかワクチンが不足しているのだそうだ。だけど、それはいい傾向だと思う。そうやって気をつけよう、防ごうとワクチン接種のため病院を訪れる人が増えているということなんだろうから。
 
アフリカではエボラ出血熱が騒がれている。何年か前にワクチンができたとか聞いたと思ったけど、その後、どうなっているんだろうか。いまだに有効なワクチンは完成していないのかな。
 
◇ ◇
 
世の中で“品薄”と騒がれていても、私自身はあまり影響とか不便とか感じないわけだけど、“品薄”で困るものがひとつある。
 
トイレットペーパーだ。
 
2011年の東日本大震災のときには、トイレットペーパーが品薄になって非常に困った。1970年代の石油危機(オイルショック)は、社会科の教科書ネタになるくらい古いけど、当時もトイレットペーパーの買い占めとかおきて品薄になったらしい。私は小学校低学年だったので、よく憶えていない。
 
何か経済的な危機的状況が想定されると、水や食糧が品薄になるのはわかるけど、トイレットペーパーが一緒になくなってしまうのは、生きて食ってるから仕方ないんだろうなぁ、とは思う。
 
◇ ◇
 
ちょっとした外出でも、何泊かの旅行でも、鉄道、飛行機、車、船のような移動中でも、国際宇宙ステーションであっても、人が生きて動いて飲み食いしているかぎり、トイレ問題はついてまわる。
 
人類滅亡の危機においても、人間はトイレの心配をし続けねばならないのだろう。決定的な最後の瞬間にトイレでしゃがんでいなければならないとしたら、極めて人間として本質的じゃないか、と思ってみたりする。
 
そんなとき、トイレットペーパーが足りなくて死んでも死にきれない――ということが無いように、品薄に備えて、ある程度の量のトイレットペーパーを備蓄し始めたのが 3.11 以降だ。贅沢はできないのでスーパーのプライベートブランドの安いやつを買っている。
 
けれども、ときどき目の前の壁に取り付いているロールを見ながら思うのだ。最後の瞬間に後悔しないように、やっぱりクリネックスにすべきかな、て。